インボイス制度導入後、個人カメラマンへの撮影発注で実際に変わったのは「免税事業者に発注し続けると、発注企業側の消費税負担が増える可能性がある」という一点です。2029年9月までは経過措置で一部の仕入税額控除ができますが、それ以降は原則できなくなります。免税事業者への発注継続・課税事業者への切替依頼・法人発注への切替という3つの選択肢を、早めに比較しておくことが実務上の対応になります。
インボイス制度で発注企業に何が変わったか
INVOICE SYSTEM

結論から言うと、変わったのは「誰に発注するか」ではなく「発注先が適格請求書発行事業者かどうかで、自社の消費税計算が変わる」という点です。個人カメラマンに撮影を発注する行為自体は、インボイス制度前後で禁止も制限もされていません。ただし、発注先の個人カメラマンが免税事業者(適格請求書発行事業者に登録していない)の場合、その方に支払った報酬について、発注企業側が消費税の仕入税額控除を受けられなくなりました。これにより、同じ金額を支払っていても、発注企業が最終的に納める消費税額が増える構造になっています。
私自身、元カメラマンとして個人事業主の時代に企業から撮影を直接受注していた経験があります。当時は消費税の扱いを深く意識せずに見積りを出していましたが、法人化してインボイス発行事業者(登録番号T2020001106718)になった際、発注企業側の税務メリットという観点から改めて制度を理解し直しました。発注企業の総務担当者様からも「フリーランスのカメラマンに直接発注しているが、インボイスの登録番号を確認していいのか分からない」というご相談を受けたことがあります。発注先に登録番号を確認すること自体は失礼にあたる行為ではなく、経理処理上必要な確認です。
インボイス制度の基礎と、免税事業者に発注し続けた場合の負担の仕組み
BASIC RULES
適格請求書発行事業者とは、税務署にインボイス登録を行い、登録番号付きの請求書(適格請求書)を発行できる事業者のことです。年間売上1,000万円以下などの条件で消費税の納税を免除されている「免税事業者」は、インボイス登録をしていない限り適格請求書を発行できません。発注企業が支払った報酬にかかる消費税を仕入税額控除できるのは、原則として適格請求書発行事業者からの仕入れに限られます。
つまり、免税事業者の個人カメラマンに撮影を発注した場合、発注企業はその報酬分の消費税を仕入税額控除できず(経過措置期間を除く)、実質的な税負担が増えます。金額の大小はあっても、この構造は撮影発注に限らずフリーランスへの発注全般に共通するものです。
免税事業者からの仕入れについては、いきなり控除がゼロになるのではなく、以下の経過措置期間が設けられています。
| 期間 | 免税事業者からの仕入れにかかる仕入税額控除 |
|---|---|
| 2023年10月1日〜2026年9月30日 | 仕入税額相当額の80%を控除可能 |
| 2026年10月1日〜2029年9月30日 | 仕入税額相当額の50%を控除可能 |
| 2029年10月1日以降 | 原則として控除不可 |
2026年7月現在は80%控除期間の終盤にあたり、2026年10月からは控除率が50%に下がります。経過措置は永続的な制度ではなく、2029年9月末で終了するため、免税事業者への発注を続ける企業ほど、早めに対応方針を決めておく必要があります。個別の会計処理・税務判断は、必ず顧問税理士にご確認ください。
選択肢を整理する
OPTIONS
- 免税事業者への発注を継続する(経過措置期間中の控除減を許容し、価格やその他の条件で総合的に判断する)
- 免税事業者に課税事業者への転換(インボイス登録)を相談し、条件が整えば依頼する
- 法人(撮影エージェントなど、インボイス発行事業者である会社)への発注に切り替える
| 選択肢 | 発注企業側の消費税負担 | 実務上のポイント |
|---|---|---|
| 免税事業者への発注継続 | 経過措置終了後は控除なしで負担増 | カメラマンとの関係を維持できる一方、2029年10月以降の負担増を織り込む必要がある |
| 課税事業者への転換を依頼 | 転換後は通常どおり控除可能 | 相手の納税事務負担が増えるため、報酬額や依頼の仕方について丁寧な交渉が必要 |
| 法人(インボイス発行事業者)への発注切替 | 発注時点から控除可能 | 契約・請求書対応が法人窓口に一本化され、経理処理がシンプルになりやすい |
法務上の注意点(要専門家レビュー)
どの選択肢が正解ということはなく、既存のカメラマンとの関係性、撮影の頻度、社内の経理体制によって判断が変わります。ただし、免税事業者に対して報酬の一方的な減額や取引停止を迫ることは、下請法・独占禁止法や、2024年11月に施行されたフリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)に抵触するおそれがあります。この点は法的な最終判断を伴うため、社内で対応方針を決める前に、必ず顧問弁護士・税理士にご確認ください。
発注先ごとの消費税負担や契約実務でお悩みでしたら、法人(インボイス発行事業者)としての発注切替もご検討いただけます。無料で撮影の見積りを依頼するから、まずはお気軽にご相談ください。
D-STYLE ARTとは
ABOUT US
D-STYLE ARTは、企業専門の出張撮影エージェントです。運営は株式会社ファーストブレイク(横浜市中区相生町3-60 泰生ビル308)で、インボイス登録番号T2020001106718の適格請求書発行事業者として登録しています。代表の宮崎大地は元カメラマンで、その実務経験を生かし、プロカメラマンが用途に合う登録カメラマンを目利きしてアサインするサービスを提供しています。
発注企業との契約では、業務委託契約・NDAの標準雛形を用意しており、著作権譲渡・直接取引禁止・代替体制への協力条項などを含みます。契約書の内容だけで法的な最終判断ができるわけではないため、詳細な契約条件については個別にご相談ください。
サービス利用の流れ
FLOW
見積りフォームからヒアリング
見積りフォームから、撮影の目的・日時・人数などをヒアリングします。
アサイン・契約内容の確認
用途に合う登録カメラマンをアサインし、業務委託契約の内容(インボイス登録状況を含む)をご確認いただきます。
撮影実施
撮影を実施します。
納品・請求
撮影後、写真は7日ほどで納品し、法人発行の請求書に基づいて請求書払い(銀行振込)またはオンラインカード決済でお支払いいただきます。

法人発注に切り替えることで、インボイスの確認や請求書対応を含む経理処理を一本化できる点は、個人カメラマンへの直接発注と比べた実務上のメリットです。
よくある質問
FAQ
インボイス制度で個人カメラマンへの発注は何が変わりましたか?
免税事業者(インボイス登録をしていない)の個人カメラマンに発注する場合、発注企業側が仕入税額控除を全額受けられなくなった点が最大の変化です。2029年9月までは経過措置で一部控除できますが、それ以降は原則できません。
免税事業者のカメラマンに発注すると企業側の負担は増えますか?
はい。適格請求書発行事業者でない相手への支払いは、消費税の仕入税額控除ができない(または経過措置期間中は一部のみ)ため、その分だけ発注企業側の実質的な税負担が増える可能性があります。
フリーランス新法とインボイス制度は何が違いますか?
フリーランス新法(2024年11月施行)は、取引条件の明示・報酬の支払期日・ハラスメント防止など「取引の適正化」を目的にした法律です。インボイス制度は消費税の仕入税額控除に関する税制で、目的も所管も異なります。ただし、免税事業者への一方的な報酬減額はどちらの観点からも問題になり得るため、両方を踏まえた対応が必要です。
免税事業者のカメラマンに発注し続けても問題ないですか?
発注自体は問題ありません。ただし仕入税額控除が制限される分のコスト増を許容できるか、価格の見直しや課税転換の相談を含めて検討することをおすすめします。最終的な税務上の判断は、顧問税理士にご確認ください。
課税事業者への切替を免税事業者に強制できますか?
強制はできません。免税事業者側にも課税事業者になるかどうかを選ぶ自由があり、一方的な要求や報酬減額の強要は下請法・独占禁止法・フリーランス新法に抵触するおそれがあります。あくまで相談・交渉として進める必要があり、判断に迷う場合は弁護士・税理士にご確認ください。

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